プロジェクト管理は本当に必要なのか?

プロジェクト管理をしなくてもいいのではないか?
プロジェクトが立ち上がるとプロジェクト憲章を作り、プロジェクト計画を立て、キックオフというセレモニーをしてプロジェクトをスタートさせる。そして、マスタースケジュール、WBSで作業計画を立てて、進捗をトラッキングする。プロジェクト進行上発生する課題は課題表を使って管理する。
このようなことをしながらプロジェクトを進めていくのがPMBOKベースプロジェクト管理のお作法となっています。
さて、ここで問いかけです。
プロジェクト管理は本当に必要なのでしょうか?
さて、プロジェクト管理の必要性をイメージしやすいように簡単な例で考えてみましょう。
東京から熱海まで歩いて行く、というプロジェクトを立ち上げるとします。プロジェクトとは、有期性、独自性であることなので、これも立派なプロジェクトと位置づけることができます。
そしてこれを、
- 2人
- 1000人
で歩くプロジェクトと考えます。
実際に、自分がそのプロジェクトのPMになったつもりでイメージしてみてください。これらを題材にプロジェクト管理の必要性ということをシミュレーションしてみましょう。
2人のプロジェクトでは・・・
プロジェクトメンバーが2人の場合、ざっくりした道順と、ざっくりしたスケジュールくらいを立ててスタートすると思います。どこを通って、いつくらいまでにどこまで辿り着いているか、などと。そして、進んだ後の道中もいろいろなハプニングがあったり、当初想定していたスケジュール通りに進まなかったりすると思いますが、そこはなんとか二人で適当に、適切に対処して道を進めていくでしょう。
最後、ゴール近くになり、残り時間が少なくなっていたら臨機応変に二人で頑張って走ったりもするでしょう。
1000人のプロジェクトでは・・・
では、1000人の場合をシミュレーションしてみましょう。
まず、1000人が一気に同時に一般の道を歩くのは現実的に不可能なので、きっとチームを作るでしょう。チームを作るときには、ほどよい人数感や、年齢、体力などを考慮すると思います。同じような体力の人で固めて方がいいのか、ミックスして全体として平均値を合わせたほうがいいのか。
そして、チームのリーダーも決めると思います。誰がリーダーとして適切なのか、キャラクターや体力を加味しながら考えるでしょう。
その他にもいろいろとやっておくことがあります。1000人全体が守るべき大きなスケジュール、いわゆるマスタースケジュールを作り、チームごとに行程計画を立てます。そして、1000人全体がそれを理解できるようにキックオフを行います。キックオフでは、スケジュールの他にも、チームや各メンバーが守るべきルールや、コミュニケーションルートの確認、何かあったときの連携方法なども周知をしておかなければいけません。
また、1000人も集まると知らない人同士のチームも多くでてきますので、懇親会をもうけることで、最初のコミュニケーションを図ることもあります。
さて、ここまででようやくスタートするための準備ができましたが、スタートした後も行程計画に対しての進捗を測り、怪我や体調不良になる人もいるでしょうし、場合によってはメンバー同士で喧嘩になるところも出てきます。なんのために歩くか分からない、と不平不満をいうメンバーもでてくるでしょう。
この先は、ここでは書き切れないくらいのたくさんのことを管理したり、対処したりしないといけません。
適切なプロジェクト管理とは?
どうでしょうか、この2つのプロジェクトを実行するにあたって、プロジェクト管理は必要でしょうか?
2人でのプロジェクトの場合、WBSをがっつりと作る必要はありませんが、大きなスケジュールやマイルストーンなどは決めます。一方で、1000人のプロジェクトでは、計画も綿密に立てないといけないですし、進捗管理もしないといけません。課題管理も必要です。
まず、プロジェクト管理は必要です。ですが、状況に応じた深さや頻度での管理をするアレンジがポイントです。
私の経験上、10人以上集まれば少しきちんとしたプロジェクト管理が必要になり、30人以上も集まれば、それなりにきちんとしたプロジェクト管理が必要になります。
30人規模でプロジェクト管理を怠ってしまうと、間違いなくプロジェクトは炎上に向かっていきます。
大切なポイントは、プロジェクトの人数、期間、難易度などに合わせてプロジェクト管理の必要なツールや技法を選び、適切な深さでの管理を行うことです。
いや、それが難しいんだよ、と思うかもしれません。確かにそうです、難しいです。経験することでわかることもあります。ですが、プロジェクト管理を導入するときに、そのような視点で適切なプロジェクト管理レベルを決めておくと、うまくいっても失敗しても、次への経験となります。
そういった視点をもったアプローチが一番大切だと思います。